2023年の明和義人祭では「お雪さん」役で参加をされました。当日はいかがでしたか?
志穂:
とても暑い日だったのですが、普段ではなかなか見ることのできない催しや参加されている方々の笑顔を間近で見ることができたりと、お祭りのにぎわいや楽しさを感じる貴重な機会になりました。古町芸妓として古町芸妓舞に参加をさせていただいたことは何度かありましたが、お祭りの最初から最後までの工程に携わったことはなかったので、お祭りの全容がよく分かりましたね。
中でも、涌井藤四郎、岩船屋佐次兵衛、お雪さんの御霊をお招きして、ご神燈に点火する採火式や御霊おこしはとても新鮮な気持ちで参加させていただきました。「今日1日、お雪さんとして過ごすんだ」という気持ちが整った儀式でしたね。
涌井藤四郎、岩船屋佐次兵衛役のお二人とも、たくさんお話されたそうですね。
志穂:
涌井藤四郎役の久保有朋さん、岩船屋佐次兵衛役の相澤俊一さんとは以前から面識があったこともあり、控え室でも肩肘張らずに、リラックスした雰囲気で過ごすことができました。久保さんは花街の文化を研究されていることもあって新潟樽砧のエピソードを教えていただいたり、お雪さんと藤四郎はどれくらいの関係性だったのだろう?とか、戦友のような意識があったのではないか?といった面白い見解も聞くことができて楽しかったです。
志穂さんが感じた「お雪さん」の印象は?
志穂:
書籍で読んだ限りの印象ですが、憧れる部分は多いですね。例えば、芸で身を立てていくという一本芯の通った強さや、二度と会えなくなるかもしれない藤四郎にきちんと自分の思いを告げることのできる素直さは、同じ女性として惹かれました。また、物語を読んでいく中で私なりに感じたのが、お雪さんは華やかな雰囲気が好きなのではないか?ということです。それもあって、お雪さんのイメージとかけ離れすぎないように、今年は赤みがかった紫色の着物を選んでみました。